ドント・ブリーズ2 のレビュー・感想・評価

レビュー 『VS盲目じいちゃん パート2!』

 盲目の老人が強盗を撃退する1は、強盗側と老人側双方とも感情移入しにくさがあったが、今作は話の構造は似ているが、明らかに老人側に感情移入しやすいようにできている。

 共感というより同情に近いかもしれない。

 その為、前作には無かった感動要素が追加されていて、前作の焼き直しではないちゃんとした2となっているのが好感を持てる。

 もちろん1のような老人の狂気を観たい方は少々物足りなさを感じるかもしれないが、1で老人頑張れと思った方は素直に勧められる。

 というか、1観なくても2から見てもそれはそれで楽しめると思う。

 話の本筋に入る前に、今作で特筆すべきなのが犬の扱い。

 これは犬映画なのかと思えるぐらい犬を丁寧に描いている。

 そして犬を大事にした人がやはりそれなりの結末を迎えているのは製作者が犬好きなのかと疑うぐらい。

 今作の癒し要素としても機能している。

 これだけ犬を描いているので、どんな意味があるのか考えてみたが、、、何かこれといった考えが出てこない。

 孤独な者にとって飼い犬との絆というのは時によっては人よりも強いということなのかな。うーーーん。

 舞台は前作から8年後。8年って設定が絶妙。

 今作老人の娘という設定で謎の少女フェニックスがいるのだが、前作の結末と老人の狂気を知ってから見ると、この娘ってまさか!?と思いながら見れるのがスリル感を高める。

 というか、この少女が今回の主人公としてもいいと思う。

 過保護に育てられる少女、そんな中強盗に襲われ、自分の出自に疑いを持ち、外の世界に憧れを持ちながら、父親との付き合いなど、ちゃんと成長していく過程を描いていくのが素晴らしい。

 自立を描く、保護される存在からアイデンティティに揺れながらも自ら意思決定する意思の強さが素晴らしい。

 スリラー映画で大事な表情で怖さを表現するのも素晴らしかった。

 ファーストカットは1を思い出す作り。

 燃えた家から離れ1人歩く少女、1ではロッキーが地獄へと引きずられていたが、今回は離れていく。その意味は?

 又、ラストカットもいい。3あるの?もう休ませてやれよ。

 そう、前作でもおじいちゃんだったが、今回はその更に8年後。

 対して相手はプロっぽい。元軍人で正しいのかな。

 しかも1では1と1匹VS3人だったが、今回は2人と(1匹)VS約9人と強くなっている。

 こんな相手にもじいさんは、結構冷静にギミックを使いながら戦っていくが、この苦戦の描き方が上手い。

 結構やられているし、なぜここから立ち向かえるのかというぐらい叩きのめされていく。

 敵も思わずタフだなと賛辞を贈る程。

 この構造が余計に感情移入を高める構造になっています。

 明確に守るべきものがいるということも観客の興味を飽きさせない作り。

終盤の登場シーンはまさにヒーロー!

 感動シーンはやはり最後の告白。じいちゃん自覚していたのかよ笑

 ちょっと衝撃的。

 そしてフェニックスにかける「今、救ってくれた」という言葉。少女の行動はどれだけじいさんにとって救いになったのかを考えるとジンときます。

 1では善と悪で揺れ動いた青年は悲惨な最期を迎えましたが、今回の敵にも1人いた「それは正しくない」と決断して、じいさんを導くのは熱い展開でした。

 じいさん容赦なく殺すんじゃないかとハラハラはしましたが。アクションでいうと、今回もスプラッター要素、特に痛さの表現が凄いです。

 道具の扱いも前作の焼き直しではなく、舞台を変えながら新しいものを見せてくれるのは流石だなと感じました。接着剤とハンマーや水たまりの使い方はエグイ。

 またカット割りが丁寧なので、舞台がコロコロ変わりますが状況が把握しやすいです。

 1でも終盤に観客をドン引きさせるシーンがありましたが、2でもドン引きシーンがあります。シーンというか展開かな。

 敵の隊長の何とも言えない表情が敵の事情を推察させますが、結構悪い行働しまくってるので、明確な悪として描いている感じはする。

 なんか、スリラー映画だが、少女が誘拐された際に強盗に行った「みんな死ぬよ。」は思わずニヤリとしちゃうし。

 血のつながった親子って何だろって考えさせるし、少女と犬の存在感が凄いし、何か前作にも増してお勧めしやすい映画になったなと感じる。

 残虐描写が大丈夫ならが大前提ですが。細かい疑問点はありますよ。

 流石に敵多すぎると感じるし、老人強すぎるし、前作以上のあれだけの大暴れをしていて警察も来ないってどれだけ辺鄙な所とは思う。

 もちろん、ちゃんとそこら辺も描写していたので凄い気になるって程ではないが。

 冒頭で記したように狂気さが薄れたというか、1でのインパクトはやはり難しいので、いい意味でも悪い意味でも誰でも進められる普通の映画になった感は否めない。

 終盤にかけての老人のカッコよさはまるで座頭市やワンピースの藤虎に通じるカッコよさです。座頭市は見たことないけど。

 映画館で見るべき傑作ではあると思う。

 98分という上映時間もちょうど良いというかおなか一杯。70点。

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【映像特典】

  • ロド・サヤゲス監督と製作スタッフによる音声解説
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  • 予想を裏切る続編
  • 監督&脚本コンビの絆
  • “スラング”の再降臨

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